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高さ 8.5 cm × 口径 12.5 cm
本作の胴外・見込みを包む白丹波釉は、淡い乳白色の中に微かな桜色を帯び、まるで早春の霞を閉じ込めたような繊細な光を湛えています。還元炎でじっくりと焼成された釉肌は、ガラス質の柔らかな艶を纏いながらも、指先にひんやりとした心地良い緊張感を残します。茶を点てれば、抹茶の瑞々しい緑が白釉に鮮烈なコントラストを描き、客の視線を静かに誘います。
器面を走る細かな貫入は、釉薬と胎土の収縮差が生んだ自然の文様です。ところどころに覗く鉄粉が点描のように散り、夜空に瞬く星屑を思わせる趣きを演出しています。この貫入は使用とともに茶渋が沁み込み、乳白の肌に淡褐色の線描が浮かび上がることで、持ち主だけの景色へと育ってまいります。
胴をほんのりと膨らませ、口縁に向かって控えめに締まる“筒茶碗”に近いフォルムは、保温性に優れ、炉・風炉どちらの季節にも活躍いたします。高台はやや高めに切り上げ、見込みはほどよい深さに整えられているため、茶筅が自然に収まり泡立ちが美しく整います。轆轤(ろくろ)の指跡を絶妙に消し残した胴の揺らぎが、掌に柔らかなリズムを伝え、長時間の稽古でも疲れを感じさせません。
直作窯は丹波六古窯の流れを汲む最古参の窯元のひとつであり、赤松薪を燃やす登り窯での長時間焼成を今なお守り続けています。本作でも、薪灰が口縁近くにわずかに降り掛かり、白釉を淡く溶かして薄桃色の景色を生んでいる点に、その伝統技術の片鱗が垣間見えます。
抹茶の発色:乳白の釉肌が抹茶の緑を一層瑞々しく引き立てます。
保温性:厚みを持たせた胎土が湯温の低下を緩やかにし、点前の所作にゆとりを与えます。
持ちやすさ:胴のわずかな張りと高台の高さが指掛かりとなり、熱を帯びた茶碗でも安定して扱えます。
初めてお使いになる際には、器を軽く水通しし、貫入を潤してから茶を点ててください。
使用後はぬるま湯で優しく洗い、柔らかな布で水気を拭き取ったうえで陰干しし、十分に乾燥させてください。
長時間の浸水や洗剤の多用は、貫入に不要な水分や油分が入り込む原因となりますのでご注意ください。
茶渋が入って生まれる淡い褐色の線や斑点は、器と過ごした時間の証しとしてお楽しみいただけます。
白丹波釉の清らかな白と、星空のような貫入が織り成す侘びの景色――正元直作様によるこの白丹波茶盌は、茶席に静かな品格を授け、毎日の稽古にも晴れの茶事にも寄り添う“育つ器”です。どうぞ末永くお手元で慈しみ、時とともに深まる景色をお楽しみくださいませ。
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